不倫で裁判をするメリット・デメリット

文責:所長 弁護士 菅沼大

最終更新日:2025年02月26日

1 不倫で裁判(訴訟)をするメリットについて

 訴訟を提起して不倫慰謝料の支払いを求めることのメリットは、主に2つあります。

 1つめは、不倫をした配偶者や不倫相手が話し合いに応じない(連絡が取れない)場合においては、訴訟は事実上慰謝料の支払いを求める唯一の手段であるという点です。

 訴訟の提起は、被告(不倫をした配偶者や不倫相手)の意思とは関係なく行うことができます。

 訴状が被告側に届き、訴訟が係属したら、被告側は対応を行わなければならなくなります。

 民事訴訟のルール上、訴訟が提起されたにもかかわらず何も対応を行わない場合には、原則として原告側の請求が認められる(被告が敗訴する)ためです。

 2つめは、適正な不倫慰謝料の支払いを受けられる可能性があることです。

 個人間の話し合いにおいては、相手も交渉術を用いるなどして、極端に低い慰謝料の支払いを提案することがあります。

 実務においては、早期解決と引き換えに相場よりも低い慰謝料の金額で合意することもありますが、どうしても提示金額に納得ができない場合には訴訟を提起します。

 これにより、相場に近い金額の慰謝料の支払いを受けられる可能性が高まります。

2 不倫で裁判(訴訟)をするデメリットについて

 訴訟を提起して不倫慰謝料の支払いを求めることのデメリットは、個人間の交渉と比べ、時間面、労力面、費用面の負担が大きいことです。

 また、これに伴う精神的な負担も高まります。

 一般的に、不倫慰謝料の支払いを求める訴訟を提起する場合の弁護士費用は、数十万円程度です。

 証拠の収集などを専門家に依頼する場合、その費用も必要となります。

 訴訟を提起すると、約1~2か月おきに期日(裁判所において原告と被告が主張・立証を行う日時)が設定されます。

 被告側が全面的に争う姿勢である場合には、期日は複数回設定されることがあるので、判決に至るまで1年以上を要することがあります。

 控訴や上告をした場合(またはされた場合)には、さらに長くなります。

 その間、反論や陳述書の作成、裁判所における本人尋問などを行っていくことになります。

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